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サーヴァント・ブルース 繰り返す使い魔-1
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★使い魔 ▼使い魔 CP様々 基本的にGURPSマジックの記述に準じますが、レギュレーションにより「疲労点が生命力基準」になったことに伴って、変更点があります。 「魔術師は使い魔の体力を使用できる」の特殊能力を取得した場合、「使い魔の生命力-1」×3を2分の1にしたCPを支払う必要があるものとします(状況が限定された追加疲労点と同じ扱いです)。使い魔の疲労点をすべて使い切ってしまうと、使い魔は気絶し、契約が切れ使い魔は失われます。特に特殊能力を持たない使い魔なら、条件さえ満たしていればCPを支払わずに取得できます。使い魔が死亡しても、特に獲得CPにペナルティはありません。 使い魔を手に入れる際には、GURPSマジックの記載を注意深く読んでください。使い魔は異次元から召喚された魔法の生物です。餌は基本的に必要ありませんし、獲得にお金を支払う必要もありません。その代わり、次のセッション開始時には同じ能力を持った使い魔を再度召喚していることになります。「動物共感」の特徴があれば、失った使い魔と同じ霊魂が呼び出されるでしょう。 使い魔には様々な特殊能力がありますが、これらは成長によって獲得することが可能です。 使い魔はレベル2以上の魔法の素質か「武器の達人(銃の達人・戦闘用工具の達人は除く)」「マナの祝福」「動物共感」があれば獲得することが可能です。 また原則として、必要CPを軽減する使い魔の特徴については、制限をかけることができません。 ▼小さな使い魔と大きな使い魔 小さな使い魔(1ヘクス未満)に攻撃を命中させるのは、普通の動物より困難です。命中判定へのペナルティを決めるには、HPを基準にしてください。生命力をヒットポイント(魔術動作による増加分を含まない)で割った数値(端数切捨)が命中判定へのペナルティとなります。 他にも「小さい」ことによる特典は多くあるでしょう。狩猟を行う動物などは静かに獲物に忍びよるのが基本的な行動ですから、〈忍び〉技能を少なくとも敏捷力と同値で持っているのが普通です。 逆に大きな使い魔(2ヘクス以上)には攻撃が当たりやすくなります。攻撃の命中判定にヘクス数と同値のボーナスを与えます。他にも〈忍び〉判定など、状況によりペナルティを受けるケースはあるでしょう。 ▼魔術師は使い魔の体力を使える 「マジック」P127の記述から内容を変更します。 使い魔から借り受けることができる疲労点は、最大で「使い魔の(「体力」+「生命力」)÷2(端数切上)」までです。2CP/Lvにつき1点分、使い魔の疲労点を使用することができます。 使い魔から疲労点を借り受けた結果、使い魔の疲労点が0になった場合、魔術師と使い魔の絆は断ち切られます。 ▼使い魔はオーラを見ることができる 使い魔の特殊能力の一つです。使い魔はオーラを見ることができます。5CP支払えばレベル2相当のオーラ感知、10CP支払えばレベル3相当のオーラ感知です。知覚を共有していても、オーラは使い魔にしか見えません。使い魔が「見た」ものを周囲の人々に伝えるには、相応の特殊能力が必要でしょう。漠然としたことであれば特に判定なしでも伝えることができますが、詳細に伝える場合には使い魔の知力による判定が必要です。相手が「動物共感」の持ち主なのであれば、判定に+4のボーナスです。〈動物使役〉のレベルが15以上のキャラクターがいるのであればさらに+1、20レベル以上であれば+2のボーナスを得ます。 ▼使い魔は危険を察知できる 使い魔は「危険察知」の特徴を獲得します。5CP支払うことでこの能力を獲得できます。察知した「危険」を周囲に伝えるには、また別の特殊能力が必要でしょう。危険を察知する際の判定の基準値は14となります。 ▼使い魔は器用である この使い魔は「器用」の特徴をLv5で所持しています。この影響により、人間と同様に道具を扱うことができるようになります。この影響によりかなりできることの幅が広がります。プレイヤーとGMは想像力を働かせてください。この能力を取得するには10CP必要です。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 ▼使い魔は相手の感情を察知できる 使い魔は「感情察知」の特徴を獲得します。5CP支払うことでこの能力を獲得できます。察知した「印象」を周囲に伝えるには、また別の特殊能力が必要でしょう。相手の印象や気分を察知する際の判定の基準値は14となります。この能力は、あまり当てになりません。使い魔が相手から受けた「印象」を適切に周囲に伝えるには、知力による判定が必要になります。相手が「動物共感」の持ち主なのであれば、判定に+4のボーナスです。〈動物使役〉のレベルが15以上のキャラクターがいるのであればさらに+1、20レベル以上であれば+2のボーナスを得ます。 ▼使い魔は意志が強い 2CPを支払うごとに、使い魔は「意思の強さ」を1レベル獲得することができます。意志の強さは5レベルまで獲得することができます。 ▼使い魔は感覚が鋭い 動物の知覚判定は通常14を基準としますが、2CPを支払うごとにこの数値を上げることができます。これは「鋭敏感覚」と同様に扱い、最大5レベルまで取得できます。使い魔が察知した内容を回りに伝えるには、また別の能力が必要でしょう。漠然としたことであれば特に判定なしでも伝えることができますが、詳細に伝える場合には使い魔の知力による判定が必要です。相手が「動物共感」の持ち主なのであれば、判定に+4のボーナスです。〈動物使役〉のレベルが15以上のキャラクターがいるのであればさらに+1、20レベル以上であれば+2のボーナスを得ます。 ▼使い魔は死ににくい 2CPを支払うごとに、使い魔は「死ににくさ」を1レベル獲得することができます。「死ににくさ」は、最大5レベルまで取得できます。 ▼使い魔は幸運をもたらす 使い魔は「幸運」の特徴を得ます。魔術師と接触していれば、魔術師もこの「幸運」の効果を得ることができます。魔術師が使用した場合も、使い魔の「幸運」を使用したものとして扱います。魔術師に幸運の効果を貸し出すと、使い魔は3点疲労します。この能力は10CPで獲得することができます。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 ▼使い魔は魔法が使える 使い魔は魔法の呪文によくにた特殊能力を使うことができます。呪文の技能レベルは必ず15レベルとなります。呪文の前提条件は無視し、必要CPは4点となります。疲労点は、使い魔の疲労点を消費します。この特殊能力のエネルギー消費により使い魔の疲労点が0になっても、使い魔との絆が切れることはありません。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 ▼使い魔は未来を予知する 使い魔は眠っている間予知夢を見ます。ですがこれはあまり当てにならない能力です。これは「夢占い」の神託として扱いますが、エネルギーは消費しませんし、能動的に使うこともできません。判定の基準値自体は14です。夢の内容を周囲に伝えるには別の特殊能力が必要です。加えて、使い魔が夢の内容を適切に周囲に伝えるには、知力による判定が必要になります。知覚に「動物共感」の持ち主がいるのであれば、判定に+4のボーナスです。〈動物使役〉のレベルが15以上のキャラクターがいるのであればさらに+1、20レベル以上であれば+2のボーナスを得ます。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 ▼使い魔は技能を持っている 使い魔は呪文を使うことこそできませんが、人間と同等以上(知力7以上)であれば、人間と同じように技能を取得することができます。使い魔に「仕込む」ことができる技能は、〈動物使役〉技能レベルの5分の1個までです。技能を習得・成長させるのに必要なCPは、通常の半分になります。動物の種別によっては、技能を持っている場合があります(犬の〈追跡〉、GMの判断にもよりますが、動物として最低限できること――例えば猫であれば〈忍び〉〈跳躍〉〈軽業〉などは持っていて然るべきでしょう)。これはこの特殊能力による技能の数の制限に含みません。また、技能に前提条件がある場合、使い魔はそれを無視して技能を習得することが可能です。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 使い魔の技能は後から成長させることが可能です。 ▼使い魔は神聖な生き物である この使い魔はある特定の信仰上、神の使いあるいはそのものとされているなど「神聖」な動物として扱われています。この使い魔の攻撃は常に『神聖』であるものとして扱われます。またヴァンパイアやその眷属からの攻撃によるダメージを2点軽減することが可能です。 またこの使い魔は《祝福》《小祈願》《祈願》《大祈願》の恩恵を受けることができます。 「神聖な」使い魔を獲得するには5CPが必要です。この特殊能力は制限をかけて必要CPを軽減することができません。 ▼使い魔は食事が必要 使い魔には食事が必要です。セッションごとの生活費が3万円増加します。これにより使い魔の獲得に必要なCPが-5点軽減されます。「大飯食らい」の使い魔なら、セッションごとの生活費が10万円増加します。この場合使い魔の獲得に必要なCPが-15点軽減されます。この不利な能力に制限をかけることはできません。 ▼優秀な使い魔 使い魔の能力値を、標準的な動物のものから向上させることができます。知力は「GURPSマジック」の記述に従ってください。敏捷力と生命力は、能力値を+1するごとに10CPです。体力を増やす場合は5CPです。知力を7にする(5CP)には制限をかけられませんが、これらの能力には制限をかけることができます。 ▼暴走する使い魔 「動物」としての習性が色濃く残った使い魔です。「悪魔」と異なり命令を曲解したり主人を罠に嵌めるようなことはありませんが、その動物としての本能的な衝動を優先してしまいます。使い魔は意志(知力が7以上であればこの判定に限り最低12)判定に成功しないと命令を無視して自分の欲望、あるいは動物としての衝動を優先した行動をとってしまいます。 主人はこうした行動を〈動物使役〉と使い魔の意志(知力を問わずこの判定に限り最低12)の即決勝負を行うことで制御することができます。ただし使い魔が離れて行動している場合、「使い魔は喋ることができる(精神感応)」の特殊能力がない限り〈動物使役〉による即決勝負を行うことができません。使い魔が離れて行動している場合、この〈動物使役〉の判定には-3のペナルティを受けます。「暴走する使い魔」を獲得するのに必要なCPは半分(端数切上)になります。 ▼「クセ」のある使い魔 知力7以上の使い魔であれば、人間と同様の「精神的不利な特徴」を取得することができます。こうして取得した肉体的・精神的不利な特徴によって、使い魔の獲得に必要なCPを軽減することができます。軽減できるCPは、通常不利な特徴によって獲得できるCPと同等です。 精神的不利な特徴を持った使い魔は、その特徴に応じて主人の行動にも干渉してきます。「好色」なオス犬の使い魔は、美しいメス犬や美女の元へ主人をどうにかして連れ出そうとするでしょう! 生活費に影響するような特徴を持つ使い魔を保有している場合、魔術師自身がその特徴を取得したのと同じように生活費が上昇します。「慈善家」の使い魔を持っている場合、生活費は10%上昇します。魔術師もまた「慈善家」なのであれば20%上昇します。 こうした使い魔の「不利な特徴」に従った行動を宥めるには〈動物使役〉の判定に成功する必要があります。使い魔との意思疎通ができないのであればー2のペナルティを受けます。精神感応などができる状態で離れた場所にいるのであればー3のペナルティです。離れた場所にいて意思疎通ができないなら、使い魔の意志の強さに任せるしかありません! これは意志判定と同様に扱い、14以上は自動失敗です。これにより軽減できるCPは40CPまでです。 これらの不利な特徴は後から「買い戻す」ことが可能です。 ▼「ファンタジー世界」の使い魔 5CPを支払うことで「ファンタジー世界の」動物を使い魔にすることが可能です。望むならドラゴンを使い魔にすることすら可能です! もちろんあなたがうまく凶暴で巨大なドラゴンを取り扱えるのであれば、の話ですが。 この使い魔は、目撃されれば大変な騒ぎになるでしょう。取り扱いには十分な注意が必要です。この能力に制限をかけてCPを軽減することはできません。
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/3353.html
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サーレーの母の病気の原因は肺ガン。 治療にはSPW財団のガンの発育を抑える薬が要る。 それには莫大な金とSPWに顔利きが出来るぐらいの地位が無ければ買えなかった。 その薬が手に入るまで、サーレーの固定化で症状の悪化を防いでいた。 しかし、現在サーレーと母親との距離は遠い。 固定化の効果が切れるまで後大体3日。 この間に帰る必要が有った。 第三話 「使い魔サーレーと黒髪メイド」 ルイズ日記 ●月▼日 あ、有りのままに起こったことを書くわ! 今日私の召喚した使い魔なんだけど、最初逃げたり、生徒たちの総攻撃を止めまくったり すごいと思わせるようなことをやりまくったのに故郷に帰れないと知ってイキナリ取り乱したりとんでもなく凄かった! 何を言っているかわからないと思うけど、先住魔法や家庭の危機とかチャチな物では断じてないわ!!もっと凄い物の片鱗を味あったわ。 なんかお母さんが何とかって言ってたわね・・・。 わめき疲れて今は寝てるけど、こいつに何があってどんな理由で逃げようとしていたのかは聞くのは明日になりそう・・・。 俺は何をしていたんだろう。何か疲れて寝ていたんだけど。 て、床アア阿亜阿亜嗚呼!? ・・・大して驚くような事でもなかった。 それにしても此処は一体何処なんだ? サーレーはすっかり昨日起こったことを忘れていた・・・訳ではなかった。 「ああ、俺。あのクソ生意気な小娘に何かよびだされたんだったっけ。」 サーレーは身の回りの状況を把握する。 中々外装が豪華な部屋だ。 辺りの目ぼしい物を漁ってみることにした。 もしかしたらこの場所がどこか分かるかもしれない。 サーレーはルイズの寝ているベッドに近ずく。そして眠りこけているルイズの顔をそっと覗いた。 ネクリジェ姿でかわいらしい寝顔のルイズを見ていると幼いころの妹を思い出す。 「この寝顔だけ見てれば可愛いんだがな・・・。」 昨日のルイズの高飛車っぷリを思い出してみる。 やべえ、何かやる気萎えてくる。 ああいう高飛車な女、好きじゃねえんだよなー。 サーレーはそう思いながら身の回りを漁るのを再開する。 机の上に何やら本が見えた。ちょっと読んでみよう。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「なにこれェ!!こんな言語見たことも聞いたことも無いぞ!!」 でも、イタリア語通じてたよな・・・。 サーレーの頭に疑問が浮かぶ。 昨日まで言語は問題なく通じていた。多分、今でも通じるだろう。 しかし何か頭の奥底に違和感が残る。 この国は一体どこなのか。母にかけている固定化が自分のスタンドと繋がっている感じがしない。 ・・・・ 只考えていては仕方ない。何かしなければ。 サーレーには考えている余裕は無い。彼には帰るべき家と守るべき家族がいる。 こんな所で立ち止まっている場合じゃない。 サーレーは今度はクローゼットを開いて物色を開始する。 「・・・服ばっかりだな。」 しばらく物色していると何やら黒いひも状の布製品が見つかった。 「何だ、コリャ?」 この余計な発見でサーレーは後に地獄を味わうことになる。 「ふああ・・・。」 サーレーが起きてグッと伸びをするルイズに近ずいていく。 「よう。起きたか。」 サーレーがルイズの顔を覗く。 まだ眼がトロンとしていて眠そうだ。 「もしもーし・・・。」 返事なし。 今度は耳元で声をかけてみる。 「もしもーし。ボン・ジョルノ!!(おはようございます)」 反応なし。 しかたない・・・最終手段発動まで3!2!1! 「こんの・・・ぺちゃパイがアアアアア!!さっさとおきやが「誰がぺちゃパイじゃあああ!!」」 ・・・首の曲がる嫌な音がした。 「いてえ・・・。」 ルイズの回転膝回し蹴りで首が90度回転して変な方向に曲がった。 「だれがぺちゃパイよ!!この蜘蛛頭!!」 「誰が蜘蛛頭だ!!このチンくしゃ!!」 まさに売り言葉に買い言葉!馬鹿と傲慢、二大関わりたくない人種の共演! これぞまさに究極のシンフォニー(究極的に駄目な意味で。)!! とまあ、こんな感じで口喧嘩は進行していたのだが・・・・・。 ここに一人、乱入者が現れる。 「ちょっと!うるさいわよ、ヴァリエール!!」 そう!この状況で一番被害を受けているであろうキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーである!! 「な、何よ!ツェルプストー!勝手に入ってこないで!!」 「あんたらがウルサイから文句言いに来たんでしょう!!まったく・・・朝っぱらから何やってんのよ・・・。」 そこまで言うとキュルケは次にサーレーを一瞥した。 (昨日はトンデモナイ化け物に思えたけれど・・・案外人間味の有る奴なのね。) あのネボスケを起こしてやるなんて、案外いい奴なのかも・・・。結構イイ男だし・・・。 実は手がかりが見つからずルイズに直接聞こうとしていたという事は本人は知る由も無い。 「分かったわね!今度うるさくしたら、只じゃ置かないから!」 「うるさいわね!!わかったわよ!!」 ルイズがそういうか言わないかの間にキュルケはルイズの部屋を出て行った。 「あんた!たとえあんたがメイジだとしても人の悪口を耳元で叫ぶなんてどういう神経してんの!!」 ルイズが随分怒ってサーレーに怒鳴る。 「ああ、もう悪い。悪う御座いました。」 サーレーはそれを聞き流した。なにやら言い争っているのが馬鹿らしくなってきたのだ。 言い争いはこれぐらいで切り上げ、ようやく本題に入る。 「なあ、ルイズ。お前、前にここから俺が帰りたいと言った時無理だと言ったよな?一体なんでなんだ?」 「だって使い魔は主人を守る・・・。」「いや・・・その話は昨日の腐るほど聞いた・・・。」 そう・・・。」 ルイズはそこまで言うとチラリと自分の部屋の時計を確認する。 「時間が無いわね・・・。ねえ、あんた。洗濯言ってきてよ。」 「はあ!?何で俺が行かなきゃならないんだ!?」 ルイズがサーレーをジロリと睨む。 「あんたの仕事は私を守ることだけど何も無いときは何をするの?で、考えたんだけどしばらくは家事をやってもらいたいのよ。あんたは聞くところ魔法は使えるけど貴族じゃ無さそうだしね。」 サーレーは呆れてしばらくポカーンとしていた。 何せ自分の着た服や下着を初対面の人間、しかも男に洗えという。 デリカシーの無いにもほどがある。 「年頃の娘の言うことじゃないだろう・・・。」 「なんか言った?」 サーレーは肩をすくめた。 (まあ、暫くはここで世話になるんだからこの位やるか・・・。こんなチンクシャの下着なんか洗ってもやる気と希望もムンムン沸いて来ないんだよな!!・・・多分。) ほんの少しチョッとした邪念が入っているサーレーなのであった。 このサーレー、完璧に当初の計画を忘れている。 「はああ、っと。ここで洗濯すればいいとか言ってたな・・・。」 サーレーは巨大な洗濯物の山を持って水汲み場まで来ていた。 そこでサーレーは一つ重大なことに気が付く。 「あ、洗濯板と洗剤忘れた・・・。」 だめジャン俺!! な、状態のサーレーの視界に一人のメイド服の少女が飛び込んできた。 普段なら気にしないその少女も今のサーレーにとっては救いの神だった。 なぜなら彼女は洗濯をしていたのだ!! 洗濯板と石鹸を持って!! そして、サーレーは彼女から借りれば態々あの鬼ガキのところまで返らずに済む!! 横顔も可愛かったし、もしかしたら・・・・。うへへへへへへ・・・・。 邪念たっぷりなサーレーはメイド服の少女に近ずいていった。 「あのーすんません・・・。」 「きゃっ!」 少女が驚いて飛びのく。 「あ、すんません。ちょっと洗濯板と石鹸貸して貰っていいですかね?いやー最近来たもんでどこに何があんのか分からなくて・・。」 あ、この子。横顔もだけど正面も可愛い!! 「あ、貴方がミス・ヴァリエールに召喚された人ですね?」 「あれ、俺そんなに有名になってんの!?」 「ハイ。何でも奇妙な術でメイジの貴族の方々を相手に大暴れしたとか。」 ヤバイ・・・こんなところで目立っちまった!! 正直スタンド使いが目立つのはご法度だ。 能力を相手に示すことは本人にとって同時に弱点をさらけ出すこと。 まだ、奇妙な術程度の認識だから良い物のばれれば対策を立てられて終わりだ。 この前の戦闘で俺を眼の敵にしている奴は五万といる。 まあ、正直いって自業自得なんだが・・・。 「あのー・・・。どうしました?」 少女が悩んでいるサーレーを心配そうに見た。 「ん、ああ、スマン。洗剤と洗濯板だったよな。」 考えていてもしょうがない・・・。 そういう問題はそのときに考えよう。 サーレーの顔が焦った顔から普通の(堅気の人専用)顔に戻った。 その顔に戻ったのを見て少女は安心したのかニッコリとしてサーレーに顔を向けた。 何やら悪い物が洗い流された気がする。そんな感じの笑顔だった。 「私はシエスタって言います。はじめまして。」 「俺はサーレー。名前は故郷の言葉で塩だ。」 「変な名前ですね。塩って。あ、でも覚えやすくていいかも・・・。」 サーレーはその問いにへへっと笑った。 この二人の出会いが今日、トンデモナイ事件を引き起こすことはまだ誰も知らない・・・。 「ン出よ、シエスタ。」 「はい?何ですか?」 「なんで月が二つあるんだ?」 ・・・・・・・・・・・・・・ 「何イイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」 まだまだサーレーは前途多難なようです・・・・。 ルイズ「ちょっと!私の出番!良いとこないじゃない!!」 今度こそルイズに出番がありますように・・・・。 TO BE CONTINUED
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魔女の手下たち。魔女の自己実現をサポートするとともに、魔女を魔法少女達から守る存在。 使い魔は魔女に与えられた「役割」を持つが、その多くは無能であるか利己的であり、魔女の命令を実行できないでいる。 それどころか魔女に疎まれている手下もいる。 公式によれば魔女に忠実な使い魔はGertrudの手下のみということだが、劇中の描写を見る限りはHolger(上条恭介に酷似したもの以外)なども忠実と言える。 Oktavia von Seckendorffは最初手下を持たなかったことを考えると、生まれたての魔女は手下を持たず、しばらくすると手下を持つようになるようだ。 使い魔は複数存在する場合もある。また時間軸によって使い魔が違う場合も存在する。 また、魔女図鑑やプロダクションノートでは使い魔とみなされていない、結界内で動きまわる存在もある。 魔法少女まどか☆マギカポータブルでは、本編にいない使い魔も追加された。 また、本編で使い魔扱いではなかった存在が、ゲームシステムの都合上使い魔扱いとされているものもある。 魔女はIsabelを除き基本的には喋らないが、使い魔たちは喋ることができる。 内容や使用言語は様々で、ドイツ語であったり、日本語であったり、その逆再生であったり、意味のない叫び声であったりする。 使い魔も単独で行動し、人を喰らうことができる。ある程度の人を食らった使い魔は、親と同じ魔女に成長する。 使い魔を倒してもグリーフシードは得られないので、魔法少女にとって使い魔を倒すのはただ働きとなる。 市民の犠牲に目をつぶって魔女に成長するのを待つか、魔力の無駄打ちを覚悟の上使い魔のうちに倒すかは、彼女らの良心に委ねられている。 名前 アニメ本編に登場する使い魔は、魔女と同様魔女図鑑に名前が掲載される。 魔女と違いこちらは男性名も含まれる。但し男性名を持ちながら女性の服装をしている場合もある。 外伝作品の使い魔の名前は公表されていない。 また、魔法少女まどか☆マギカポータブルで追加された使い魔も名前は不明で、「○○の魔女の手下(ニックネーム)」と表記されている。 バリエーション 同じ使い魔でも、外見や能力にいくつかバリエーションがある。 例えば劇中では、Pyotrが少なくとも3種類のバリエーションを持つ。 ポータブルでは、本編にないバリエーションが幾つか追加された。 他にも、AnjaやDoraのように、変身・変形できるものもいる。 容姿の違う使い魔が、バリエーション違いであるのか別の使い魔なのかを判断するのは難しい。 下記の一覧では、設定資料や作画のタッチなどから同一と思われる使い魔には同一の名前を割り振っている。 そのため、確定したものではないことに留意されたい。 使い魔に関する推測 魔女ファンの推測で、使い魔は、親の魔女が生前、ほんとうに欲しかったものを表すという説がある。 使い魔は魔女の欲しいものを持ってきてくれないが、絶望の化身である魔女は無能な手下しか創造できず、最高次の欲求である自己実現欲求を永遠に満たせないでいるのだ。 名前 コメント
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「そうよ、みんな静かになさい!」 むっ、この偉そうな声は! 月明かりの下、月よりも赤い髪が跳ね上がった。月のように美しいおっぱいを持つその女は……。 「キュルケ!」 ゴーレムが進行方向を変えた理由が今分かった。 敵の攻撃と味方の自爆でどうしようもなくボロッボロになったわたし達よりも、効きもしない炎を背後から撃ってくる赤毛の方が鬱陶しかったんだ。 「お集まりいただいた皆々様、今から歌劇をおっぱじめますわよ。主演女優はあ、た、し」 ああっ、あの女、短時間でばっちり化粧し直してる! 「なァに格好つけてるの! あんたの炎はこれっぽっちも通用しなかったでしょ!」 「あたしが魔法だけの女とでも思って? 反吐でも吐きながら桟敷席でご観覧くださいな」 「待ちなさいってば!」 「あんたはそこであたしの活躍見てなさいルイズ。近づいたら命の保障はしないわよ」 何かよく分からない。でもとてもまずいような気がする。 魔法が通用しないのにしゃしゃり出るってことは、魔法以外の手段を使うってことよね。 キュルケが使う魔法以外の手段っていえば、使い魔くらいしかないわよね。 キュルケの使い魔っていえば、水をお湯に変える……。 「や、やめなさいキュルケッ! あんたそれで何をどうすれば勝てると思うの!?」 「この子がわたしの中で騒ぐのよ。殺戮こそが全て、闘争こそが生きがい、闘わせろ、闘わせてくれ……って」 無茶苦茶言ってる。 兵隊蟻だってそんなこと考えるかもしれないけどね、だからってドラゴンにかかっていけば踏み潰されて終わりでしょ。 ゴーレムはキュルケを障害物とさえ考えていないようで、全く歩みを緩めない。 「やめてキュルケ! 逃げて!」 愚かな真似をやめさせるため、走り寄ろうとしたわたしの肩に堅く厚い手が置かれた。 「蚤の無謀は勇気とは呼べん」 「ぺティ! あんたキュルケ見捨てる気!?」 「落ち着きたまえルイズ嬢。キュルケ殿の勇気、どうやら蚤の無謀ではないようじゃ」 「蚤の無謀以外の何だって言うのよ!」 キュルケはその場から動こうとしない。足を止めたまま、胸の谷間から引き抜いた杖を天に掲げた。 「ルイズ。まさかあんた、この子が水をお湯にするだけの力しか無いと思っていないでしょうね」 不敵とか大胆とかいう形容のぴったりくるその顔は、いかにもキュルケって感じ。悔しいけどかっこいい。 「あれはあくまでも訓練。この子の力をコントロールするための練習ってやつよ」 杖の先がわなないた。何かが、得体の知れない何かが集まっていく。 「あたしはこの子の力が暴走しないよう制御するための器。あたしだけがこの子の力を抑えることができるの」 ゴーレムがキュルケの目前に、その巨大な足を突き出した。 風圧で豊かな髪がはためき、もっと豊かなおっぱいがプルプルと震えるも、キュルケ自身は両の足でしっかりと地面を掴み、小揺るぎもしていない。 杖を振り、先に集めていた「何か」を飛ばした。一直線に飛んだ「何か」はゴーレムの膝を直撃する。 「何よあれ……」 震えていた。巨大な土の塊が鳴動していた。 歩行時の振動なんてものじゃない、大きな揺れがわたし達のいる所まで響いてきた。 立っているのもやっとという揺れなのに、キュルケは平然とおっぱいのみを揺らしている。 「分子空動波……って名前らしいわ。お味はいかが?」 ただ震えているだけじゃない。何かおかしな形に……膨らんでいる? 縮んでいる? 作ってる途中のシチューみたいな……あれはひょっとして……沸騰している!? ぐっつぐつに煮えたぎって、赤い泥みたいになった土が崩れていく。 崩れた膝では自重を支えることができずに尻餅をついた。キュルケは最初の位置から一歩も移動していない。 三十メイルからなる巨躯が倒れ、強い地響きとともに土の飛沫が飛んできてもキュルケは動かない。 キュルケに達する直前で、飛来した土くれはどこへともなく消え去った。 見てるわたしは何をしているのか全く分からないんだけど、そんなわたしの思いはオール無視、キュルケは追撃の手を緩めない。 謎の衝撃――キュルケ曰く分子空動波――を次々に撃ち込み、 「随分タフなのね……でもそういうところ好きよ。練習台に持ってこいなんですもの」 苦し紛れに伸ばしてきた手を空中三回転で回避した。今度は空から正射を始める。 ってことはフライと同時に使ってるってことよね。やっぱりあれ魔法じゃないんだ。 ゴーレムは全身がまだらな赤に染まり、まともに動くこともままならない。 見下ろし、キュルケは微笑んだ。そりゃもう妖艶に。なんていうか抱いてください。 「それじゃそろそろフィニッシュといきましょう。ギャラリーも飽きちゃうからね」 いやいや飽きてませんって。 破壊の女神が巨人の胸に降り立った。熱くないのかしら。 「分子……地動波」 着地点を中心に、緋色の亀裂が縦に走った。横に、斜めに、縦横無尽に駆け抜けた。 体の部分部分を鉄にして抵抗しようとしているみたいだけど、鉄も岩も同じように沸騰している。 「ドラゴンズ・ドリームやヨーヨーマッとは性質の違う力」 うおっ、タバサ。復活したと思ったらいきなり解説するのね。忙しい子。 「波紋とも違うようじゃ。おそらくはまた別の世界……魔人とでも言うべき力じゃな」 このメンバー、解説役が多いわね。 「な、なんだかよく分からないけど……すごいことしてるってことだけは分かるよ」 マリコルヌ、あんたは別に出てこなくてもいいから。 「濃密な宇宙エナジーを感じます。おそらくは第三平行世界における汎宇宙的生命体の力を借り……」 あんたも引っ込んでなさい。 うっはあ、暑い暑い、ここまで熱が届くってどういうことよ。 キュルケ平気な顔してるけど、あの子神経通ってないんじゃないの? ゴーレムが崩れていく。もうすでに原型留めちゃいないけど、それよりも激しく崩れていく。沸騰が気化に移行しつつあった。 タイミングを合わせたんでしょうね、キュルケがパチンと指を弾くと同時にゴーレムは塵になった。 塵に……ゲホッ、ゲホゲホッ、ちょ、ちょっと、風に乗って流れ……ゴホゴホゴホッ! 「さよなら来訪者!」 「何がさよなら来訪者よ! ゴホッ! フーケはまだその辺にいるかも……ゲホッ!」 「そんなのあたしの知ったことじゃないわ」 無責任よ! ゴーレム倒したんだからフーケも倒す義務がある! たぶん! 「みんな気をつけて! フーケがまだその辺に潜んでいるわ!」 「さすがモンモランシー、素晴らしい推理だ! みんな、警戒を怠るな!」 今わたしが言った事復唱しただけでしょうが。 ま、何にしても気をつけなきゃいけないわね。今のわたし達がボロボロの状態ってのは変わらないわけだもの。 あのレベルの魔法を使う余力は無いでしょうけど、それでも警戒に値するわ。 一人一個師団のキュルケとはるか遠くへ逃げたグェス、マ役リ立コたルずヌ以外の全員で背中合わせに輪を作った。 うっ……臭うと思ったら右隣にヨーヨーマッがいる。何か冷たいと思ったら左隣はワルキューレじゃないの……ひょっとしてわたし嫌われてる? 「しかしこのまま待っていてもいいものじゃろうか。逃げられてもまずいのではないかね」 そりゃそうだけど……でも、こちらから攻勢に出るには視界が悪い。 塵になったゴーレムのせいで五メイル先も見えやしない。キュルケっていつも考え無しなのよね。 学院からの応援を待とうにも、そんなもの待っていれば本当に逃げられちゃう。 かといってこちらから出て行けばいい的よね。 「……手詰まりね」 「まだ」 タバサ? あのね、親友の尻拭いしようって気持ちは分かるけど、あまり無理しない方がいいわよ。 「攻撃する」 眼鏡が……眼鏡じゃない。眼鏡の奥がキラリと光った。 風に流されたのか、それとも確固たる意思の元動いたのか、ドラゴンズ・ドリームが主の前で浮遊している。 タバサが首肯し、ドラゴンズ・ドリームが大きく頷き返した。 いったい何をする気なの? 自分の体よりも大きな杖を頭の上まで振り上げて……え? ドラゴンズ・ドリームに向けて振り下ろした! ……新手のプレイ? 「大凶、決定」 すいません、わたしには趣旨も意味も理解できません。 要するに、タバサがドラゴンズ・ドリームを殴りつけた。ここまでは分かる。 趣旨はともかくとして何をやったかは分かる。で、ここからが理解不能なのよ。 タバサに殴られたドラゴンズ・ドリームは何一つ変わることなく浮遊し続けていた。 なぜか殴った杖の先が欠けている。右前方からくぐもった悲鳴と誰かが倒れたような音。 で、タバサの「大凶、決定」宣言。はい、意味が分かりません。 わたしにできることといえば、次第に晴れていく塵の煙幕を待つことだけ。 少しずつ、ほんのちょっとずつ、視界が開けてきた。月の明かり、星の明かりが中庭を照らす。 四方八方に飛び散る城壁、ゴーレムが暴れた跡、なぎ倒された木、それら破壊された物の中に横たわる人影。 「あれは……ミス・ロングビル!」 「大丈夫ですか、ミス・ロングビル!」 いの一番で駆け寄るわたし。貴族の鑑ね。 付け加えておくと、助け起こすドサクサでおっぱい触ってやろうなんて思ってないわよ。 あーあ、誰がやったのよコレ。頭頂部で立派なたんこぶがぷっくりと膨れていた。 ちょっとつついてみようかな。 「フーケ」 「は? 何言ってるのタバ……」 「動かないで! 動けばお友達の命が無いわよ」 抱き起こそうとしたミス・ロングビルは、わたしの首に腕を絡めて抱き締めた。 背中におっぱいの感触が……ひょっとしてミス・ロングビルって……わたしのことが……。 「お察しの通り、あのゴーレムを動かしていたのは、わたし」 ええそうでしょうね。そうでしょうとも。現実逃避しようとしてましたよ。 しかしミス・ロングビルが土くれのフーケだったなんて。予想もしなかったわ。 「動くなと言ってるでしょう、ミス・ツェルプストー。あなたの力でお友達ごと灰にするおつもり?」 あっ、キュルケが杖を下ろした。闘いこそ生きがいなんて言ってたけど、わたしのことも考えてくれてはいるのね。 「全員近寄るな! 指一本動かせば小娘を殺す!」 普段は絶対に見せない表情でロングビルが怒鳴った。 じりじりと近寄ろうとしていたぺティが足を止める。止めるしかない。 ていうか近寄ろうとしてたのがぺティだけってどういうことよ。あなた達わたしがどうなろうといいってわけ? ああ、どうしよう。このままじゃマリコルヌを超える足手まといだ。 「悪いけど一次撤退させてもらうわよ。そろそろ学院の方も騒がしくなってきたようだし」 人質にとられたわたし、人質をとったミス・ロング……フーケ、手が出せないキュルケ達。 皆が皆焦っていたのに、一人と一匹だけが泰然自若に構えていた。タバサとドラゴンズ・ドリームだ。 「……勇気があるのね。お友達が生きようが死のうがどうでもいいの?」 「ちょっと違う」 ちょっとなの? わたしとしては全然違っていてほしいんだけどな。 「あなたは大凶。すでに決定済み」 「ふん、わけの分からないことを」 フーケは自分の太股のあたりをまさぐった。 「あなたはそこでじっとしてなさい」 今度は胸元をまさぐった。 「じっとしてさえいれば……」 落ち着き無く足元に目をやっている。 「この子は無事に……」 心なしか顔が青ざめてきたような……ゴソゴソと全身を探っていた。 これ、ひょっとして……。 「あの……ミス・ロングビル……じゃなくてフーケ」 二十メイルは離れた木の影から、グェスがこちらに向けて手を振っている。 「何? 今、人質とお話している暇はないんだけど」 そんなこと言いながらわたしの質問に返事してくれるあたりこの人も律儀よね。 手を振るグェスの右手にはわたしの杖が握られ、左手には見覚えのない杖を一本握っていた。アレって……アレよね。 「あなたひょっとして、杖を失くしたんじゃ……」 フーケは動きを止めた。体温が上がり、そして下がり、滲み出た汗が服越しに伝わってきた。 「……そんなわけないでしょう」 ぺティが走った。キュルケも走った。タバサも走った。ワルキューレ軍団も走った。主に押されたヨーヨーマッや大釜背負ったギーシュまで走った。 巻き上がる土ぼこり、かき消された悲鳴、巻き込まれないために逃げ出すだけで精一杯。 ふう。ちょっとあなた達、わたしの分も残しておきなさいよ。